このように考えてられる方へ向けての記事になります。
私は、京都の水道屋さんで15年以上勤務しております。(年間100件近くの申請のうち、50件くらいはマンション・福祉施設など)資格は1級管工事施工管理技士・排水設備責任技術者を保有しております。水道修理のことから水道に関わる設計・計算方法まである程度の信頼の担保になると思います。
通常、公共汚水ます(接続ます)から公共下水道本管に放流する汚水管の最終管径はΦ150mに設定されているかと思います。
しかし、敷地が広い施設の場合は排水設備の数も多いため根拠が必要になります。特に雨水を合流させる合流地域においては、計算結果次第でΦ200mmやΦ250mmが必要になるかもしれません。
それが施工後に発覚して元の木阿弥になってしまわないようにしなければなりません。
そこで今回は、汚水口径決定の計算方法についてご説明いたします。
尚、今回計算するのは屋外排水設備の最終口径のみです。屋内排水設備の区間ごとの計算については、(ほぼ同じ内容ですが)後日解説いたします。
計算手順はYoutube動画でご説明いたします
汚水口径決定の計算方法
メモ
汚水放流区域の区別があります。
分流地域・・・公共下水道に放流するのは汚水・雑排水(湧水込み)※雨水系統は別々で計算する
合流地域・・・公共下水道に放流するのは、汚水・雑排水(湧水込み)と雨水 ※汚水系統を雨水面積に換算して計算する(屋外で合流)
分流地域の場合
汚水(雑排水を含む)系統と雨水系統を分けてそれぞれ数値を計算し、別々の表を参照することで管径を決定します。
汚水系統の計算
1.器具排水負荷単位数の合計(DFU)を求める
器具名 | 口径(mm) | 器具排水負荷単位数×個数 | 累計 | 排水管勾配 | 管径(mm) | ||
fu | fu | ||||||
大便器(洗浄タンク) | 75 | 4×62 | 248.0 | ||||
手洗器 | 25 | 0.5×123 | 61.5 | ||||
台所流し | 50 | 2×61 | 122.0 | ||||
シャワー | 50 | 2×60 | 120.0 | ||||
洗濯機パン | 40 | 2×60 | 120.0 | ||||
掃除用流し | 65 | 2.5×1 | 2.5 | ||||
浴槽 | 50 | 3×3 | 9.0 | ||||
合 計 | 683.0 | 1/96 | 150 |
尚、下記の表より各器具の排水負荷単位数を参照しています。
2.求めた結果のDFUは 683.0 となりました。これを下記の表から参照します。
3.この結果、計算結果 683.0 < 表の数値 700 なので汚水系統は、配管勾配1/96(1/100)でΦ150mm必要ということがわかります。
雨水系統の計算
1.その区間の雨水管が受け持つ屋根面積を求める。今回は、最終区間としてますので全てを合計してます。
メモ
屋根面積・・・屋根の水平投影面積(真上から見た面積)とコンクリートやアスファルト面の雨水が浸透しない部分の面積の合計
・ペントハウスは上記及び外壁の面積の1/2を加算
・ドライエリアは雨の吹き付ける面積の1/2(通常は屋上まで)を加算
※地階のみなら不要な場合あり
2.仮に今回は、屋根の水平投影面積のみ350㎡とします。これを下記の表(基準降雨量100mm/hr)から参照します。
3.この結果、計算結果 350 < 表の数値 362 なので雨水系統は、配管勾配1/100でΦ125mm必要。もしくは 350 < 481として配管勾配1/150でΦ150mm必要と考えられます。
合流地域の場合
汚水系統と雨水系統を屋根面積を器具排水負荷単位数に換算(屋内合流)もしくは、器具排水負荷単位数を屋根面積に換算し、合算。その数値を表より参照することで管径決定できます。
今回は、公共汚水ます(接続ます)から公共下水道本管までの最終区間のみなので、屋外合流の計算方法、器具排水負荷単位数→屋根面積の換算で求める。(下記表左側)
計算手順
1.器具排水負荷単位数の合計(DFU)を求めます。今回は、先ほどのDFU( 683.0 )を引用することとします。
2.仮に今回は、屋根の水平投影面積とコンクリート舗装部含めて810.14㎡とします。
3.DFUを屋根面積に換算します。上記の表より、DFU > 256
公式は、A´(器具排水負荷単位を換算した屋根面積)= 93 + 0.36(DFU - 256)
A´=93 + 0.36( 683.0 – 256 )= 246.72 ≒ 247㎡
4.屋根面積と換算した屋根面積を合計します。
810.14 + 247.0 = 1057.14㎡ ≒ 1057㎡
5.求めた屋根面積は1057㎡ となりました。これを下記の表から参照します。
6.この結果、計算結果 1057 < 表の数値 1270 なので配管勾配1/100でΦ200mm必要ということがわかります。
おわりに
今回は、汚水管管径決定の計算方法(最終区間)についてご説明いたしました。参考にしていただけたら幸いです。
尚、京都市で申請するときに使用しているものなので、他の市町村との差異は不明です。もし、誤認があった場合は教えていただけると嬉しいです。
又、私が実際に使用していたExcel計算書を大改造して無料で配布することにしました。
note記事に公開しておりますので、ダウンロードしてお役立てください。
今後ともよろしくお願いいたします。
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