工事 設計業務

ポリブデン管で水出不良になる?トラブル前に水理計算で安全運用

2019年6月14日

近年、マンション・戸建て住宅問わず、宅地内の給水配管材料として急速にシェアを占めてきているポリブデン管ですが、使用後に起こりうる重大な欠点である水出不良(架橋ポリエチレンもおそらく同様)について、お話させていただきます。

ポリブデン管は水出不良の恐れあり

結論ですがかなり水圧が下がってしまいます。現職の方なら経験されているのではないでしょうか?

お客様宅で給水配管の水漏れがあり調査しても、漏水箇所がわからないから全面布設替えをした。

その際、給水材料はポリブデン管を使用したのだがエルボなどの継手の総数も少なくなり、新品の材料を使用しているのに、水圧、水量が少なくなってしまったというような現象が起こるかもしれません。

こうなってしまうと布設替えしてもお客様には喜んでいただけないでしょうし、料金も満額いただけないかもしれない。

仕事人もせっかく仕事を終えても、モヤモヤした気持ちを抱えることになるでしょう。

こういったことが起こらないために、事前に知っていただきたいので、これから理由を説明いたします。

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ポリブデン管で水圧が下がる理由はなぜ?


原因はポリブデン管の継手形状によるものです。ご存知の通り、ポリブデン管の継手(プッシュロック)などは継手の中にパイプを突き挿すことで継手の中のコレットがパイプを固定し抜けるのを防ぎます。

この差し込むときに継手の内側に筒があると思います。これがパイプの内径より内側に入ることにより、異径接続したときと同様以上の摩擦損失を生みます。

摩擦損失があると水量・水圧が減るという現象が起こってしまいます。
※摩擦損失とは運動エネルギーが摩擦(器具や継手等の抵抗)によって熱となって失うことです。

水理計算で実証

それでは実際の水理計算で実証していきましょう。
今回は、従来主流だったHIVP(耐衝撃性硬質塩化ビニル管)と比較してみましょう。

まずはこちらの表(京都市上下水道局仕様)の標準的な各継手の直管換算長を見ていきましょう。
φ20mmエルボ → 0.38,φ20mmチーズ分流 → 0.61,チーズ直流 → 0.12 ですね。(水栓エルボという設定はなし)

つぎはこちらの表(ブリヂストンから)の技術資料(2013.6)にて各継手の直管換算長を見てみましょう。
エルボ → 7.0,φ20mmチーズ分流 → 7.0,チーズ直流 → 1.5,水栓エルボ → 5.5のようです。
これ、意味が分かる方ならピンきますよね。直管換算長、何倍あるん!?って話です。

通常の継手とポリブデン管の継手で比較

それでは継手の比較のため実際に摩擦損失の計算を行います。
計算方法の詳細は直結式給水の記事をご覧下さい。

直結式給水(直結直圧)の計算方法を動画と記事で解説します

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まずは、標準の直管換算長で計算した場合の摩擦損失シートです。
先ほどの京都市仕様の直管換算長数値が入っておりますが、それぞれ計算した後、最終的に合計すると、17.61(m換算で表記)となってます。

続いては、ブリヂストン技術資料の直管換算長で計算した場合の摩擦損失シートです。
今回は、継手の数を減らせることを考慮して立上り管の部分にコネクターエルボ2ヶ、給水栓のところに水栓エルボ1ケと仮定して数量を入れました。
それぞれ計算した後、最終的に合計すると、19.19(m換算で表記)となってます。

比較すると両者の差は19.19-17.61=1.58mとなり、今回に関しては3階直結可能という結果が得られました。

しかし、計算結果での差は高さで表現すると、平均的な建物の階高(3.0m)の0.5階分となります。
それだけの水を揚げるエネルギーが失われているということです。

ポリブデン管は上階では避けたい

先ほどの水を揚げるエネルギーが奪われるということを考えると、マンションの上階では耐衝撃性硬質塩化ビニル管(HIVP)や硬質塩化ビニル鋼管(SGP-VA)などの通常の継手の損失扱いができる材料を使った方が無難です。

なぜなら高さが最も水圧を下げる要素だからです。

実際に私の先輩はポリブデン管による工事後の水出不良を経験されており、後処理に時間がかかったみたいです。

ポリブデン管は便利だけど継手は極力少なめに

以上のことを勘案すると、ポリブデン管を使用するとしても極力継手の使用を控えるように心がけた方が良さそうです。

とはいえ施工の利便性を考えると、ポリブデン管を材料として選択するのは間違えておりません。無駄に手間をかけて良いわけではありませんから。

それに必ずしも水出不良になるとは限らないです。あくまで水圧の低い地域、そもそも配管口径が小さいことや経路が複雑な建物で起こりやすい現象ということを付け加えさせていただきます。

もちろんポリブデン管だけが原因とは限りませんが、使用後ならば十分に考えられますのでこの機会に見直してみると良いかもしれません。

可能であれば、メーカー様の商品改良の参考なることを期待しつつ、今回の記事は終わらせていただきます。

今後ともよろしくお願いいたします。




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