受水槽の容量ってどうやってもとめたらいいの?
元水道局申請のプロが解説します。
受水槽(貯水槽)の設置が必要な現場を受注した。水道局への申請のため受水槽の容量計算をしないといけないが、求めていく手順に出てくる数字の意味がよくわからない。
又、給水装置工事主任技術者の計算問題にあるが意味が分からないといった設計初心者にお役立ちになるかと思います。
そして、同時に必要なメーター口径の決定、定流量弁の設定流量の算定方法も解説いたします
ろしお:本名は辻紘司(つじひろし)
実務経験19年(今は独立して個人事業主)
京都の水道屋でマンション・テナントビルをはじめとする中高層ビル、福祉施設、保育園など施設の上下水道申請業務一式を担当していました。ピーク時は年間100件の物件を取り扱っていました。
(正直なところ20現場同時進行とか二度とやりたくないです笑)
現在は、水道局申請書類作成代行事業および生成AI活用コンサルタントをしております。
保有資格
1級管工事施工管理技士
給水装置工事主任技術者
排水設備工事責任技術者
基本情報技術者試験
計算手順はYoutube動画でご説明いたします。
スライド動画を作成しましたのでご覧ください。不慣れなため聞き苦しい点や不手際が多々ございますが、何卒ご辛抱お願いいたします。
文章と画像でもご覧ください
受水槽容量の算定
計画一日使用水量を求める
- 使用人員から算出する場合・・・・1人1日当たりの使用水量 × 使用人員
- 使用人員が把握できない場合・・・単位床面積当たりの使用水量 × 述床面積
- その他・・・使用実績による積算
今回は1と2についてご説明いたします。
1.使用人員から算出する場合の計算例
計算は下記の表(建物種類別単位給水量(平均)・使用時間・人員表)を用いて計算します。数値は市町村によって変わるかもしれません。建物概要:マンション 60㎡以上(ファミリー)60戸
計算式:250ℓ/日 × 3人 × 60戸 = 45,000ℓ/日 となります。
2.使用人員が把握できない場合の計算例
計算は下記の表(建物種類別単位給水量(平均)・使用時間・人員表)を用いて計算します。建物概要:工場 1500㎡
計算式:男性50ℓ × 0.3人 × 1,500㎡ = 22,500ℓ/d
受水槽の容量決定・大きさの検討
先ほどのマンションのサンプルデータで求めていきます。
(計画一日使用水量)45,000ℓ/d
受水槽の有効容量は計画一日使用水量の4/10~6/10なので半分とみなし
45,000 × 1/2=22,500ℓ=22.5㎥・・・受水槽有効容量
さらに計画最大使用水量も求める
45,000 × 1.3=58,500ℓ/d・・・後ほど補給流量の計算に使用します。
ただし、下記の画像のように受水槽の貯水槽部分も考慮して、槽の大きさを検討する必要があります。
仮の水道メーター口径の算定
計画一日使用水量から仮の水道メーター口径を算定します。
45,000ℓ/日=45㎥/日
下記のJIS水道メーター流量表を見て参照しましょう44(φ40)< 45 < =140(φ50)なので、仮にφ50㎜とする。
補給流量の算出
補給流量の算出(ℓ/sec)=(計画一日最大使用水量-受水槽の有効容量) ÷ 一日の使用時間(ℓ/sec)
式を当てはめると補給流量(ℓ/sec)は
(58,500-22,500) ÷ 10時間(建物種類別単位給水量(平均)・使用時間・人員表より)×60×60
=36,000 ÷ 36,000
=1.00(ℓ/sec)・・・補給流量
動水勾配の算出
動水勾配の算出手順は下記のとおりです。
- 平面図から立面図(アイソメ図)を作成する。
- 配水管から受水槽落ち込み高さまでの高低差を求める。
- 器具類損失水頭の直管換算長を集計する。
- 配水管から受水槽までの配管寸法を求める。
- 上記の数値を元に集計する。
※直感換算長は市町村によって違います。現場の管轄の水道局でお問い合わせください。
集計した数値を用いて動水勾配を算出していきましょう!
直管総延長を求めます
直管総延長=158.96(器具損失) + 26.1(総延長寸法)=185.06
安全のため直管総延長を1.2倍にする
185.06 × 1.2=222.07・・・動水勾配の計算で使います
配水管の最小動水圧を m(メートル)に換算
2.0kgf/cm2 =20.0m
有効水頭の算出を行う
20.0-3.2(高低差)=16.8m・・・動水勾配の計算で使います
動水勾配‰(I)=有効水頭 (H)÷ 直管総延長(L)
上記の公式から求めると
16.8 ÷ 222.07=0.0757=75.7‰・・・動水勾配
水道メーターの口径の決定
先ほど求めた補給流量と動水勾配で水道メーター口径の決定を行います。
補給流量(Q)≒ 1.00 ℓ/sec
動水勾配(I)=75.7‰
別表(ウェストン公式図表でも可)にて仮決定した口径(φ50)と求めた動水勾配から流量を参照する。
かつ、流速も確認しておきます。今回は、3.70ℓ/secという流量であり、流速も1.88m/secということになります。
最後に配管から求めた流量が補給流量よりも大きいか確認します。
1.00 < 3.70 となり、水道メーター口径はφ50mmで充分であるということが判明し、メータ口径の決定の根拠になります
定流量弁の設定流量算定
設定流量(㎥/h)=補給流量(ℓ/sec)× 60 × 60 × 1.2(使用流量変動分)
上記の公式から求めると
設定流量 =1.00 × 60 × 60 × 1.2
=4,320ℓ/h=4.32㎥/h
計算結果をJIS水道メーター流量表にて検証していきます。参照すると、φ50㎜のとき適正使用流量範囲が、1.25㎥/h~17.0㎥/hとなっており
計算値はこの範囲に含まれているため、定流量弁の設定流量は4.32㎥/hとする・・・定流量弁の設定流量
受水槽計算書はnoteで無料公開しています
以上、受水槽容量の算定、水道メーターの口径決定、定流量弁の設定流量の算定について説明させていただきました。
お役に立てたら幸いです。
しかしながら、これだけの計算をしていくのに電卓をカチャカチャするのは大変だと思いますので、Excel計算書を作成いたしました。
作成には結構な時間を割いておりますが、このまま使用できない地域もあると思いますので
無料で公開しております。
「タダほど怖いものはない」って言葉もあるとは思いますが、正真正銘なにも取りません笑
\ noteの記事内にあります /
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実際に仕事で京都市の受水槽容量等計算に使用しているものなので実用性はあると思います。
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