まだ迷ってるんだ
どんなデメリットがあるんだい?
そんな人にはぜひご覧ください
僕は京都の水道屋で15年近く、水道の工事申請にたずさわっております。
直結式給水については申請経験が多いのと、こういった質問に答える機会も多いので
参考になる話ができるかと思います。
受水槽式→直結直圧式のデメリット4選
では、あまり言いたくないデメリットについてお話しします
こんなデメリットがあります
- 導入費用が高い
- 水圧が上がりすぎると、水量調整が必要
- 道路の本管工事で必ず断水がある
- 水道基本料が上がる
導入費用が高い
結論、水道工事って結構かかります。
特に給水口径を変更する場合は、道路工事もありますので
数百万は覚悟が必要になります。
例えば、京都市で既築物件の参考程度の金額として
項目 | 仕様等 | 金額 |
加入金 φ25→φ40 | 市納金 | 357,500 |
路面復旧費 | 市納金 | 165,000 |
その他申請実費 | 市納金 | 19,330 |
水道本管~メーターまで | 材料・工事費 | 350,000 |
メーターまわり配管 | 材料・工事費 | 430,000 |
受水槽まわり配管 | 材料・工事費 | 180,000 |
最上階エア抜き弁取付など | 材料・工事費 | 60,000 |
受水槽・加圧ポンプ撤去 | 420,000 |
途中から適当になりました(笑)
市納金:541,830円
工事費:1,440,000円
合 計:1,981,830円
ぶっちゃけたところ、市納金は自治体の設定金額・工事金額は現場によって変わるので
何とも言えないですが、道路側の工事規模(中)、宅地内側の工事規模(少)の場合の
概算金額はこんな感じです。
さらに、宅地内部の給水管が古い(30年以上前)場合は、給水管の全面やり替えが必要になることがあります。
その場合は、上記にプラス1,000,000円ってことが割とあります。
さらに、多くの水道屋さんは個人事業主なのでローン契約を受け付けておりません。
(手続きの手間や手数料がかかりますので)
そういう意味でも導入費用は注意が必要です。
水圧が上がりすぎると調整が必要
直結式給水にするとたいていの場合は、水圧が上がります。
(多くの加圧給水ポンプの圧力は0.3MPa設定、水道本管はそれ以上のことが多い)
水圧がある程度以上ないとそもそも直結式ができないので
仕方がないことではありますが、同時にデメリットになるんですね。
よくあるお客様の声として
「台所の水栓が水圧が上がって飛び散る」とか
「洗面所の水が止まりきらない」とか
「シャワーヘッドの継ぎ目から漏水する」といった
色々と老朽化した部分が明らかになってきます。
(通常使用でもいつかは必ず起こる症状です)
水栓器具の下部のアングル止水栓などを軽く締めて対応することもあります。
しかし、一度にたくさんの修理依頼があっても
オーナー様・管理会社様・われわれ修理業者はパンクしてしまいます。
そこで、未然に急激な水漏れなどを防ぐために各部屋の入口横にある
パイプスペース内で減圧弁を付ける必要が出てきます。
こんなやつです
(時には給水主管に設けることもあります)
その際、圧力を設定するのですが、旧給水加圧ポンプの設定水圧と同じ設定をします。
直結式にして水圧を上げといて、なんとも本末転倒な対処ですが
PS内の各部屋メーター(特に水圧が高い1階や2階)に設置することで
急激な不具合回避にはつながります。
参考
(減圧弁10,000円前後 + 配管工事費 + 保温工事費 + 諸経費)× 戸数分
上記の支払いは地味に負担額増加につながりますね
道路の本管工事で必ず断水がある
既に完了している路線なら問題ありませんが
現在道路地中に存在する水道本管および引込み管は老朽化している場合がほとんどです。
これからは水道本管のやり替え・引込管のやり替えが増えてくると思います。
その水道管を旧管から新管に切り替えるとき断水が必要になります。
ところが受水槽がある場合は槽の中に水がある限り断水しません。
受水槽の有効容量を決定するときにおよそ半日分の水量があると仮定すると
最低でも2時間は断水しなくても済む可能性が高いという、受水槽ありきのメリットが
なくなります。
切り替えの断水はあってしかるべしではありますが、工事の都合で断水回数が多いとき
宅地内配管の老朽化が進んでいると水圧変動により配管の中のサビが動いて
赤水や水出不良、漏水などの不具合が起こる可能性もあります。
ただそういった現象は、本来はやり替える時期なので速やかに対処が必要になります。
水道基本料が上がる
直結式給水に変更する場合、水道の口径変更が必要になることがあります。
口径変更の際、増径することが多いのですが、増径することで水道料金が上がります。
水道料金は一定の水量までの基本料と従量加算で計算されます。
増径することで値上がりするのは水道基本料です。
(尚、口径変更しない場合は大丈夫です)
水道基本料は自治体によって金額が大きく変わるので、あまり参考にはならない
かもしれませんが京都市と東京都23区の試算したものを例にあげます。
(φ25→φ40として2ヶ月料金)
参考
京都市(上水のみ)200㎥のとき(令和2年度)
φ25 44,066円
φ40 46,002円 差はわずか1,936円
東京都23区(上水のみ)200㎥(令和2年度)
φ25 42,174円
φ32 54,417円 差は12,243円
φ40 61,963円 差は19,789円
東京都23区のような基本料金の差が大きい自治体はデメリットが大きくなります。
その逆で基本料金の差が少ないところだとデメリットは少なくなります。
(直結式給水のメリットが上がる)
まとめ
ということで、受水槽式給水→直結式給水のデメリットをまとめてみました。
デメリットはありますが、長い目でみたら直結式の方を僕はおススメしてます。
参考にしていただければ幸いです。
直結式に変更するメリットについてはこちらの記事
下記はYouTube動画です(メリットとデメリット両方語ってます)