最近は、直結式という給水方式を水道局から勧められているが
メリットが曖昧でわかりにくい
具体的に教えて欲しい
そんな人には知っていて損はさせません。
僕は京都の水道屋で15年近く、水道の工事申請にたずさわっております。
直結給水については申請経験が多いのと、こういった質問に答える機会も多いので
参考になる話ができます
受水槽式→直結直圧式のメリット5選
では、メリットについてお話しします
こんなメリットがあります
- 安全・安心な水道水を直接使用
- 受水槽のメンテナンス費用削減
- 加圧給水ポンプのメンテナンス費用削減
- 動力プランの見直しができる
安全・安心な水道水を直接使用できる
これは特に説明は不要ですね
実際に聞いた喜びの声
「水が以前より冷たくなった。特に夏場は暖かくて気持ち悪かったから助かりました」
「水圧があがってシャワーの水がよく出るようになった。お湯がたっぷりでるので嬉しいです」
以上のような居住者さんからの喜びの声を聞くためだけにも直結式に変えるメリットが大きいですね!
受水槽のメンテナンス費用削減
受水槽では年間メンテナンスや数年ごとのメンテナンスが必要になります。
ここではわかりやすいように受水槽の容量から計算例を出していきます
既築建物の場合は、いきなり概算金額に飛んでいただいて結構です。
新築計画にも使える考え方なので興味のある方は続けてご覧下さい。
まずは、仮の使用水量を出していく必要があります。
今回は、京都市の計画1日使用水量を例とします。
京都市では居住者1人あたり250ℓ/日の水量を1日に使用することにしており
今回はファミリーマンションで戸数が30戸ある建物とします。
ファミリミーマンションは京都市では3人としますので計算すると
参考
例:250ℓ/日 × 3人 × 30戸 = 22,500ℓ/日 = 22.5㎥/日 (8212.5㎥/365日)
さらに受水槽容量は 4/10 〜 6/10 なので、
参考
有効容量を計画1日使用水量 11.25 × 4/10 = 9.0㎥/日
※動画では1/2にしておりましたが
槽本体の大きさとの辻褄が合わないので修正
有効容量から受水槽の大きさを決定しますが、
2.0 × 3.0 × 2.0 = 大きさ12㎥
これを図にすると下記のようになります
10年間で受水槽にかかる費用
長い目で比較するために10年として計算してます。
仮にこの規模の受水槽清掃の相場が50,000円/1年として
参考
50,000円 × 10年 = 500,000円/10年
さらに外観を気にするオーナー様の場合は、10年に一度塗装するとします
先ほどの受水槽の各面を展開していくと下記のようになります
仮に塗装代金が㎡あたり3,000円として(相場は2,500円以上くらいから)
参考
3000円/㎡ × 26㎡ = 78,000円/10年
加圧給水ポンプのメンテナンス費用削減
加圧給水ポンプも定期的なメンテナンス、本体交換時期があります
直結式に変更する際に加圧給水ポンプを撤去します
よって、その後のメンテナンスが不要になります。
尚、メンテナンスの時期(小型圧力タンク)はこちら
部位名 | 取替の判断基準 | 取替目安 |
ユニット本体 | ユニット全体を取替 | 10年 |
オーバーホール | 分解・点検・整備 | 4~7年 |
軸受 | 軸受け過熱、異音がするなら | 3年 |
メカニカルシール | 目視できるほどの漏洩するなら | 1年 |
グランドパッキン | 増し締めしても著しい水漏れ | 1年 |
電磁開閉弁 | 誤作動、接点荒損がひどい | 3年 |
リレー・タイマ | 誤作動、接点荒損がひどい | 3年 |
プリント基板 | 各運転動作が不確実なら | 3年 |
逆止弁 | 弁動作に不具合があるなら | 3~5年 |
減圧弁 | 圧力設定誤差は再調整、不確実なら取替 | 3年 |
圧力タンク | ポンプ停止時間が極端に短くなる | 3年 |
圧力計、連成計 | 圧力を抜いて指針が0を示さない | 3年 |
圧力スイッチ | 圧力設定誤差は再調整、不確実なら取替 | 3年 |
圧力センサ | 圧力設定誤差は再調整、不確実なら取替 | 5年 |
フロースイッチ | 動作が不確実なら | 3年 |
フート弁 | 弁動作に不具合があるなら | 2年 |
10年間で加圧給水ポンプにかかる費用
今回は、ユニット本体の取替だけで考えてみます。
取替は10年に1回なので
仮に 800,000円/10年 とします
動力プランの見直しができる
加圧給水ポンプを使用していく場合は、動力としての電気代を支払う必要があります。
直結式にすることによって動力プランの見直しが可能になります。
参考
エレベーターがある → 動力プランのランクダウン
エレベーターがない → 動力プラン解約
どちらにしても電力会社との交渉が必要になります。
実際にお得になる概算金額に関しては
東京都水道局の電気代シュミレーションがとても参考になります
(他都道府県とは金額が違うのでご注意ください)
10年間で加圧給水ポンプにかかる電気代
上記により約1年で100,000円助かる計算になります。
動力電気代を
100,000円/1年→ 1,000,000円/10年
まとめ
受水槽式のファミリ―マンション30戸として
10年間ごとに下記の費用がかかります
500,000円 + 78,000円 + 800,000円 + 1,000,000円
=2,378,000円
つまり、この金額が削減できます。
直結式に変更する費用と見比べる必要がありますが、長い目で投資するような気持ちの方ならおススメできるんじゃないかと思います。
うまくいけば15年、20年以上で考えられるとメリットを享受できます
以上、参考にしていただければ幸いです。
直結式に変更するデメリットについてはこちらの記事
下記はYouTube動画です