2020.9.4 水理計算書販売開始しました!
私は、京都の水道屋さんで15年以上勤務しております。(年間100件近くの申請のうち、50件くらいはマンション・福祉施設など)資格は給水装置工事主任技術者・1級管工事施工管理技士を保有しております。水道修理のことから水理計算方法まである程度の信頼の担保になると思います。
直結増圧式で給水したいマンションや施設の現場を受注した。水道局への申請のため水理計算し、事前協議しないといけないが、求めていく手順に出てくる数字の意味がよくわからない。ブースター(増圧)ポンプの能力選定もわからないので計算方法を知りたい。といった設計初心者にお役立ちになるかと思います。
ポンプ屋さんで見積するとざっくりとした計算で能力選定されます。
今回の計算を自力で行うことでポンプ口径ダウンによるポンプ能力を下げることで結果的に予算削減になるというメリットがあります
計算手順はYoutube動画でご説明します
直結直圧式給水の場合はこちら
直結増圧式給水の計算手順
- 建物の部屋数(戸数)・同時使用水栓数などで同時使用水量を求める
- アイソメ図(立面図)を作成する
- 水道本管からブースターポンプまでと同時使用水量もしくは口径が変わる部分で測点を付ける
- ブースターポンプまで直結直圧可能か検証する
- ブースターポンプから末端水栓までの区間の損失水頭を求める
- ブースターポンプの能力選定のため、全揚程などを求める
- ブースターポンプの性能成績書にて計算した吐出し量と全揚程を満たすポンプを選定する
1.同時使用水量の求める
- 使用人数(ワンルーム60㎡未満)→表1より参照
- 戸数(ファミリー60㎡以上) →表2より参照
- 同時使用水栓数による算出 →任意の使用水量から
- 負荷単位数による算出 →器具負荷単位数の合計→表3
1-1.使用人数(ワンルーム60㎡未満)の場合
建物概要 :ワンルームマンション 30㎡未満(1人)6戸,30㎡以上(2人)9戸の場合
計算式 :6 + 18=24人
同時使用水量:下記の表の左側の数字が人数です。例:24人に対応する部分を参照すると右側の数字は81ℓ/min・・・この建物の同時使用水量合計
1-2.戸数(ファミリー60㎡以上)の場合
建物概要 :ファミリーマンション 60㎡以上18戸の場合
同時使用水量:下記の表の左側の数字が戸数です。例:18戸に対応する部分を参照すると右側の数字は132ℓ/min・・・この建物の同時使用水量合計
1-3.同時使用水栓数による算出の場合
建物概要 :店舗・事務所(3階建) 同じ条件の部屋の場合
同時使用水栓数:各階を仮に15栓として、下記の表により同時使用水栓数は4栓
3階まで同じ条件の部屋のため、43 × 3 フロア=129ℓ/min
1-4.給水用具負荷単位数による算出の場合
建物概要 :デイサービス(私室用)※公衆用は不特定多数の人が使用する建物:駅ビルなど
給水負荷単位数:負荷単位数の設定がある器具を各器具ごとに集計する。下記の作成した表は例として
給水用具 | 1台あたり負荷単位数 | 戸数 | 負荷単位数 |
大便タンク | 3 | 10 | 30 |
洗面台 | 1 | 6 | 6 |
手洗い器 | 0.5 | 10 | 5 |
流し台 | 3 | 2 | 6 |
掃除用流し | 3 | 2 | 6 |
シャワー | 2 | 2 | 4 |
負荷単位数 合計 | 57 |
同時使用水量:下記の表の一番左側の数字(負荷単位)を参照する。このときに現場の大便の割合がフラッシュバルブ率が高いか、ロータンク率が高いかで、全然数値が違う。ロータンクの方が圧倒的に有利な数字になります。
当現場は、フラッシュバルブが多いとして、199.65ℓ/minとなる。
2.アイソメ図(立面図)を作成する
平面図を確認しながら作成して下さい。市町村により立て方が違うかもしれませんので、そこはご容赦ください。
3.水道本管からブースターポンプまでと同時使用水量もしくは口径が変わる部分で測点を付ける
今回は直結増圧式なので、本管から増圧ポンプまでの区間も測点を作ります。(ア~イ区間)
続いて、最上階の末端給水栓(給湯器など)で測点を付けていきます。
3-1.各測点ごとの器具、継手類、管延長を拾い出しを行います
拾い出しの注意点ですが、下記の画像のように継手の手前側で測点を刻んでいきます。(チーズ上流)
よって、チーズ(直流)はウ~エの間に計上しましょう。
ここでのコツは、先に紙に印刷しておき、そこに給水器具の数と管延長などを書き込んでから表に打ち込むとミスが少なくなります。
3-2.作表していきます(計算があるのでエクセルで作成してます)
各区間の流量の確認と管径の仮決定をします
各区間ごとの同時使用水量を入力し、ℓ/min を ℓ/sec に変換します(60で割る)
このとき、同時に各区間ごとの流速の確認を行っていきます。(原則2.0 m/sec以内になる口径にしないといけません)
このとき、1.11~1.14のような数値が出ている場合は1.15、1.16~1.19のような数値が出ている場合は1.20のように0.05単位で切り上げて考えています。例:流量(ℓ/min)1.15で口径φ40mmの場合は0.92m/sec
4.ブースターポンプまで直結直圧可能か検証する
ブースターポンプ一次側の摩擦損失水頭を計算していきます
先ほどの本管から増圧ポンプまでのア~イ区間のみで水理計算を行い、直結直圧可能かどうか検証します。
ブースターポンプまでのア~イ区間のみ摩擦損失水頭(P1)を求めます。
そこから、一次側の摩擦損失水頭(P1)と配水管とブースターポンプの高低差(P6)を減算した結果、0kgf/cm2以上残っていたら問題なしです。
5.ブースターポンプから末端水栓までの区間の損失水頭を求める
残りの区間の摩擦損失水頭を計算していきます
3-1で器具継手類の個数と管延長などを書き込んだものを入力していきます。
このとき器具継手類の直管換算長も入力していきますが、各市町村の仕様を参考にしてください。
- 区間ごとの器具継手類の直管換算長と個数を入力
- 区間ごとの管延長寸法を入力
- 上記を加算する
- 加算したものを1.2倍する(安全値)
- 区間ごとに動水勾配を流量(ℓ/min)と口径から早見表から参照し入力する。
- 4で算出した数値と動水勾配を乗算し、1,000で除算すると区間ごとの損失水頭が算出できます。
- 口径が変わるところは異径接合の直管換算長を入力しますし、変更後の口径の動水勾配で計算していきます。
- 上記の作業を全区間でおこないます。
- 損失水頭の合計を出します→摩擦損失水頭 計
6.ブースターポンプの能力選定のため、全揚程などを求める
吐出し圧力設定(P7)、復帰圧力(PL)、全揚程(R)を計算します
吐出し圧力(P7)= (二次側の摩擦損失水頭(P3)+ 給湯器等の必要作動水圧(P4)+ ブースターポンプと給湯器等の高低差)
復帰圧力(PL)= 吐出し圧力(P7)- 二次側の摩擦損失水頭(P3)
※計算結果はm(メートル)なので、P7とPLはそれぞれ0.0098乗算することでMPaに直す。
全揚程m(R)= (一次側の摩擦損失水頭(P1)+ 配水管とブースターポンプの高低差(P6))+吐出し圧力(P7)- 設計水圧(P0)
7.ブースターポンプの性能成績書より計算した吐出し量と全揚程を満たすポンプを選定する
計算した吐出し量と全揚程を参考にブースターポンプの選定を行いますが、ここでいう吐出し量は、最大の同時使用水量(ℓ/min)を指します。本管からブースターポンプまでの区間の同時使用水量と考えて差し支えありません。※ただし、ℓを1000で割り、m3に変換することを忘れずに
全揚程は先ほど求めた数値とし、ポンプメーカーの性能成績書を参照します。下記画像によると⑤番のポンプが良いんじゃないかなと判断できます。
水理計算書の販売開始しました
ここで計算方法を学習に来られている方は勉強熱心でかっこいいです
とはいえ、水理計算って結構面倒くさい
というか増圧式給水は特に複雑です
水理計算ヲタクをうたっている僕でさえ、現場ごとになえてます笑
面倒くさがりの僕が水理計算にかかる時間を20分節約するために
10時間以上もかけて作成した水理計算書を販売することにしました!
変態でしょ?笑(諦めてます)
下記のリンクは販売ページですので暇つぶしにご覧ください
水理計算ことなら、なんでもご相談下さい
こんなときどうやって同時使用水量を求めたら良いか?など
ご質問も可能な限りお答えします。
又、水理計算書に至っては、他県市町村対応の雛形で作成も承ります。
(ただし設計代行はいたしません。雛形のみでお願いします)
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